『PSA/DNAの実相4〜米国サイトから読み解く、その遠景』(事例29〜35)

このページでは、FBIによるPSAへの捜査情報、PSAによる鑑定失敗例などをいくつかご説明しています。

■事例29 
ワシントン・ポスト紙、アメリカ連邦捜査局(FBI)によるPWCC社及びPSA/DNA社に対する捜査を報道する(2019年7月)。
 一部の熱心なコレクターからの情報提供により、米連邦捜査局(FBI)が10億ドル規模の産業である野球カード収集について捜査を行っていることが明らかになった。
 アメリカの大手新聞社ワシントン・ポストによると、鑑定会社、カードドクター、オークション会社が共同でカードを改造・評価した後、実際よりもはるかに高い価値で販売している疑惑で当局が捜査に着手している。一部のコレクターは、カリフォルニアに拠点を置く鑑定・認証会社Professional Sports Authenticator (PSA) が、カードドクターと呼ばれるゲイリー・モーザーの手によって加工された特定のカードに、それに相応しいよりも高いグレードを付けていたと主張している。そしてそのカードは、その実際価値よりも高い等級を与えられた上で、オレゴン州にあるオークション会社PWCCによって高値で販売されていた。一般人や熱心なコレクターが、加工によって傷つけられたカードを含むコレクションを所有していても、実際には購入した値段よりはるかに低い価値しかない可能性がある。
 PWCCでは、何百枚もの改ざん・トリミングされたカードが、PSAや他の大手鑑定会社による鑑定・認証を経た上、高値で販売されていた。この事を考えると、PSAがカードトリミングのスキャンダルに関与していたと多くのコレクターが感じても何ら不思議ではない。また、多くのコレクターが、不正なオークション業者が人々を欺くのをPSAがほう助し続けていたものと考えている。
https://www.washingtonpost.com/sports/2019/07/18/baseball-card-collectors-suspected-rampant-fraud-their-hobby-now-fbi-is-investigating/
https://www.usatoday.com/story/sports/2019/08/06/baseball-cards-has-latest-sports-trading-card-scam-been-uncovered/1929959001/
https://www.insidehook.com/daily_brief/sports/fbi-launches-fraud-investigation-into-world-of-baseball-card-collecting
https://www.blowoutforums.com/showthread.php?t=1390968


※解説
希少なスポーツカードに対して、「カードドクター」と呼ばれる特殊技術者が改ざん、加工など施してその価値を人為的に高め、依頼を受けたPSAやBGS(ベケット・グレーディング・サービス)などの鑑定会社がそれらに高い等級を施し、その提携オークション会社であるPWCCによって再販されるという手法で、不正な利益を挙げてきたことが明らかになっている。以下の検証サイト、「スポーツ・カード・ラジオ」によれば、実際には加工・偽造されていたカード、あるいは鑑定会社が本物と認証したもののの、実際には偽造されたサイン入りカードなど、PWCCによって販売された不正な商品数は確認されているだけでも数百点に及び、その累計金額は日本円換算で一億八千万円以上に及ぶものと目されている。
https://www.sportscardradio.com/alert-fake-trimmed-altered-graded-cards-by-psa-or-bgs/
https://www.sportscardradio.com/gary-moser-pwcc-marketplace-card-trimming-shill-bidding-scam/
以下はそうした手法の一例。
PWCCの開催するオークションから、PSAグレーディング済みの、1909年の希少なタイ・カップのカードが、2,138ドルで購入される。カードドクターと呼ばれる人物によって密かに加工が施されたこのカードに対し、PSAが以前より高い等級与えることによってその価額を高めさせた上で、再びPWCCによって出品され、何も知らないコレクターによって今度は5,655ドルで落札される。これによって関係者は実に3500ドル以上の利ざやを得ていることになるが、人の手によって密かに改竄されたカードに高い格付けを施すことにより、売買相場を操縦するこうしたビジネス手法は、その価値を信じて対価を支払ってきたコレクターを欺いていることになる。
https://www.blowoutforums.com/showpost.php?p=14746503&postcount=2621



同じく2012年秋に発出され、2015年夏に判決が下された、PSA/DNAにまつわるFBI捜査に関する情報

■事例30
AUTHOR: Dennis - (United States of America)SUBMITTED: Saturday, October 27, 2012 さんの投稿

 PSA/DNAはFBIによって調査されている。PSA DNAは、MASTRONETスポーツオークションとのスキャンダルに巻き込まれました。 これは、彼らが改ざん/偽造されたホーナス・ワグナーの野球カードを本物と鑑定し、グレーディングしたということです。
 シカゴの連邦大陪審が先月、スポーツメモラビリアの経営者ビル・マストロとダグ・アレンを詐欺罪で起訴したとき、多くのコレクターやディーラーが最初に思いついた疑問は、「PSAにとってこれは何を意味するのか」、というものであった。PSAはプロスポーツオーセンティケーター、世界で最も有名で高価な野球カード、NHLスター、ウェイン・グレツキーがかつて所有していたホナス・ワグナーT206 - 1991年に1〜10のスケールで8を宣言した南カリフォルニアのグレーディングサービス会社である。
  起訴状は、マストロがカードをトリミングしたと主張しており、それはかなり価値が低くなるであろう。マストロの弁護士は、彼のクライアントに対する訴訟は裁判なしで解決されることを期待していると述べており、マストロが当局に協力しているだけでなく、いずれ彼が本当にカードを改変したことを認めるだろうことを示唆している。私たちがT206ワグナーとホビー業界の腐敗について書いた本『The Card』で書いたように、このカードを鑑定したPSAのチームの一人は、カードがトリミング加工されていることを知っていたと認めたのである。
  先週ボルチモアで開催されたナショナル・スポーツコレクター・コンベンションを訪れた人によれば、FBIエージェントがボルチモア・コンベンションセンターの会社のブースでPSA社長ジョー-オーランドに聞き取りを行って多くの時間を過ごしていたのだという。PSAは、起訴状や我々の本や新聞記事にある疑惑について、公にはコメントしていない。オーランド氏とPSAの親会社コレクターズ・ユニバースのデビッド・ホール社長は、インタビューの要求に応えていない。しかし、ナショナルで行われたPSAの招待者限定の昼食会に参加した我々のスパイは、起訴状とカードに関する疑惑が主な話題であったと言う。
 また、そのスパイが言うには、提供されたチキンマルサラはなかなか美味しかったそうです。我々のスパイによれば、約150人のコレクターとディーラーが、金曜日にコンベンションセンターで開催された昼食会に参加していたとのことである。ホール氏は立ち上がり、この部屋にあ800ポンドのゴリラ(持ち上げても取り除くのが大変困難な、巨大な案件の比喩?)である起訴問題に対処しなければならない、と言ったそうだ。 今すぐに教えてください。あなたは、PSA/DNAを信頼しますか?

https://www.ripoffreport.com/reports/psa-dna/san-diego-california-92101/psa-dna-went-to-get-my-items-authenticated-at-a-psa-open-house-after-payimg-19000-they-853815
PSA stays mum about Honus Wagner T206 in public, but not in private - New York Daily News (nydailynews.com)



※2016年1月31日付のニューヨーク・デイリーニューズ紙より、上記記事の続報に基づく解説。

かつて”キング・オブ・メモラビリア”と呼ばれて巨額の財を築いたものの、野球カードの改ざんによる不正なグレーディングや、いわゆるサクラ入札による組織的な価格吊り上げ行為が発覚してFBIに摘発されたメモラビリアオークション会社、マストロ・オークション。オーナーであったビル・マストロに対しては、2015年8月に禁錮20か月の実刑判決が確定。ニューヨーク・ヤンキースの共同オーナー、ハル・スタインブレナー氏や、アメリカの著名なニュースキャスター、キース・オルバーマン氏もこの会社の顧客として被害を受けたと言われている。

Keith Olbermann: 「Uh - the PSA/Gretzky Wagner was trimmed. It was the beginning of PSA and the day PSA forfeited all credibility. Card grading is a scam.」 / Twitter
(『カード・グレーディングは詐欺であり、PSAはあらゆる信用を失った』と呟くオルバーマン氏のツイッター)

2002年12月から2009年2月の間だけでも2,600件以上のサクラ入札がこのマストロ・オークションでは行われ、コレクターに対して与えた被害総額は190万ドル以上(二億数千万円以上)が確認されているが、実際の数字はこれをはるかに上回るものと目されている。
 裁判所の記録文書によると、スポーツメモラビリア業界では名の知られた人物を含む数十人が、このマストロ・オークションの行ってきた組織的なサクラ入札への協力者として特定されているが、これらの価格吊り上げ行為にはPSA/DNAの主要な鑑定人三名も加担していたことも判明している。リアリティ番組「ポーンスターズ」の常連であり、認証サービス会社の1つであるPSA / DNAとは密接な関係を持っている同社の鑑定人、ジョン・レズニコフ。同様にPSA/DNAの鑑定人として名を連ねるザック・ルーロ。そして、PSA/DNA野球鑑定のコンサルタント、ケヴィン・キーティング。これらの人物が、マストロ・オークション内での不正なサクラ入札者としてリストアップされていたことが裁判所の文書によって判明している(検察側はこれらの三名を含むその他の協力者については不起訴処分とした)。

https://www.nydailynews.com/sports/yankees-owner-victim-mastro-auctions-shill-bidding-article-1.2514664


'King of Memorabilia' sentenced to 20 months in prison for fraud – Chicago Tribune
上の写真は、判決を言い渡されて出廷するマストロの姿を捉えた日刊紙、シカゴ・トリビューン紙の記事。そして以下の写真は、逮捕されたマストロとPSA/DNAの深い関係性を示す一枚。
http://www.auto-mania.com/html/newpage.html?code=46
左から順に、元PSA鑑定人のスティーブ・グラッド(現在はBASベケットに移籍)、逮捕・収監されたビル・マストロ、PSA鑑定人のジョン・レズニコフ、ロジャー・エプパーソン(現在はPSAを離職)、そしてマストロの弟。


おまけ情報

■事例31 (深刻度★★☆☆☆) 
カトー・ケイリン氏のサイン、PSA/DNA社によって全く別人である女優のサインとして鑑定される。
1995年に起きたОJシンプソン事件の裁判の証人として全米から注目を集めた男性、カトー・ケイリン氏(Kato Kaelin)の書いたサインが、PSA/DNA社によってアカデミー賞にもノミネートされた女優、ケイト・ハドソン(Kate Hudson)の直筆サインであるとして認証された。この二人は性別も当然のことながら、本来、サインのパターン自体もまったく異なるものである。
https://ricaautograph.wordpress.com/

■事例32 (深刻度★★★★☆) 
六千ドル超で販売されたPSA/DNA社の認証済みブルース・スプリングスティーンの直筆サイン、レコード会社への確認によって印刷サインであることが判明する。
アメリカン・メモラビリアというオークションサイトで出品されたロットナンバー1の商品は、ブルース・スプリングスティーン「Born In The USA」RIAAプラチナアルバムのディスクで、ブルース・スプリングスティーンのサインが入っておりPSA/DNAによって本物であると認証されたというものでした。しかしこの商品は元々Rockaway Recordsという会社によって750ドルで販売されていたものであり、サイン部分は複製であると彼らが説明していることがわかります。この2つのアルバムの筆跡は完全に一致しています。
この同一商品が、アメリカン・メモラビリアのセールで、PSA認証済みのスプリングスティーンの直筆サイン入りという説明によって6060ドルで販売されました。私はアメリカン・メモラビリア社に返金を提案する手紙を書きました。以下は、この問題を警告するためにアメリカン・メモラビリア社に送った電子メールのコピーです。
写っている商品は、あなたが言うようなブルースの本物のサインではありません。これらの一つ一つに何百ものラベルが貼られていますが、それらは事前に印刷されただけのサインです。私はこれらのレーベルをいくつか持っています。スキャンしたものを添付します。PSA/DNAの判断は完全に間違っています。コロンビアレコードに連絡することを勧めてくれたシェリー・ジャッフェに感謝したい。以下はコロンビアから届いたメールの返信です。
【制作した会社がサインをスタンプしたもので、本物ではありません】
http://richardsimonsports.com/hofauto2.htm 
(UACC Registered Dealer, #108、リチャード・サイモン・スポーツからの情報)

http://www.auto-mania.com/html/newpage.html?code=40

■事例33 (深刻度★★★★☆) 
1966年に死去したはずの太平洋艦隊ニミッツ提督が1976年に書いたというサイン、PSA/DNA社によって本物と判定される。
PSA/DNAの鑑定人、ジェームズ・スペンス氏(現JSA社)とスティーブ・グラッド氏(現BAS社)、 第二次世界大戦の歴史を塗り替える。太平洋艦隊ニミッツ提督を鑑定する〜死後10年経過したドイツ降伏文書に署名する。
これは語り継がれるべき素晴らしい話だ。私たちが最終的に真実を知るまでに約60年かかったというのは、呆れるほどです。これは、語られるべき「戦争物語」なのです。これはカール・デーニッツ提督の直筆サインと76年7月27日という日付が入った、ドイツ降伏文書のコピー記念品です。総統ヒトラーの死の直後、非常に驚いたことに、突如としてデーニッツはドイツ国家のトップという立場になってしまった。そして連合国へのドイツ軍の降伏交渉は、このデーニッツに任されることになった。
だが、PSAの「専門家」であるジェームズ・スペンス氏とスティーブ・グラッド氏は、PSA/DNA鑑定書に署名している。この「専門家」たちは、この降伏文書コピーへのサインが、ドイツのデーニッツではなくチェスター・ニミッツによってサインされたものであると述べている。これは、ヨーロッパ戦線でドイツ軍を連合国に降伏させたのが、太平洋艦隊で日本軍と戦っていた我らがニミッツ提督であったことを発見する最初の機会である。驚くべき歴史的発見である。しかも信じられないことに、彼は死後10年以上経ってから、このコピーにサインと日付を入れることができたのだ。この文書は、アメリカ艦隊司令官チェスター・ニミッツがドイツ軍を連合国に降伏させたこと、そしてサインするために死から蘇ったことを世界に伝えるものである。歴史が書き換えられ、PSA/DNAによって認証され、429ドルという低価格で提供されています。
http://www.fighttoys.com/lawsuit%20nimitz%20letter.htm
https://www.globalinvestigativegroup.com/document-authentication

※太平洋戦争において山本五十六と対峙した事でも知られる、アメリカ太平洋艦隊司令長官、チェスター・ニミッツ提督。1966年に亡くなっているはずのこのニミッツ提督が、なぜか1976という日付を入れて、しかも本人とは全く無関係のドイツの歴史的文書の写しにサインをしたものである、とする筆跡鑑定書をPSA/DNAが発行してしまったという、業界ではかなり有名なとんでもない失敗例です。実際にはこの筆跡はニミッツ氏のものではなく、ドイツ降伏時の国家元首カール・デーニッツ氏によるものであり、本人にゆかりのある歴史的文書のコピーに、日付を入れてサインしたものです

■事例34(深刻度★★★★☆) 
PSA/DNA社が本物と判定したマイケル・ジャクソンのサイン、海外サイトで大きな物議を醸す。
誰も見たことがないような筆跡パターンのマイケル・ジャクソンのサインをPSA/DNAが本物と認定していることに対して、アメリカのサインコレクターが集まるサイトでは大きな盛り上がりを見せている。
https://autographmagazine.ning.com/forum/topics/michael-jackson-psa-fake
https://autographmagazine.ning.com/photo/t2ec16n-zefiejk44fgbswlb1hibq-60-57
https://autographmagazine.ning.com/forum/topics/michael-jackson-1500-psa-dna-forgery
https://storage.ning.com/topology/rest/1.0/file/get/110091470?profile=original

以下は寄せられているコメントの一部。
「このマイケル・ジャクソンの偽サインを見てもわかるように、PSA/DNAは、彼らの意見が本当に間違っていることがある会社だということが証明されました」
「これは、かなり哀れです」
「正直言って、今まで見た中で最悪のマイケルジャクソンの贋作だと思います。」
「MJのパターンを全く学習していない私ですが、これはすぐに贋作だとわかりました。」
「ハハハハ!あの会社は本当にふざけた会社だな!」
「悲しい」

■事例35 (深刻度☆☆☆☆☆被害なし) 
サインの何も入っていないメジャーリーガー実使用の木製バット、PSA/DNA社によって「本物のサイン入りバット」として鑑定される。
この話は、ジム・キャラヴェロにさせてください。"最近、50年代のアメリカンメモラビリアオークションでアーニー・バンクスのゲーム使用済みバットを落札しました。ちなみに私が購入したバットは、何もサインが入っていないものです。信じられないような木製のバットで、落札できてこれ以上嬉しいことはありません。このバットには、実試合使用品の検査会社であるタウベとマルタの証明書が付いていました。そしてアメリカン・メモラビリア社から、「このアーニー・バンクスのバットに書かれている直筆サインは本物である」というPSA/DNAの鑑定書が届きました!いったいどういうサインなんだよ? オークションのカタログを見ても、それがサイン入りのバットであるなどとは何も書かれていない。このバットにはアーニー・バンクスのサインがどこにも書かれていないのに、どうしてPSA/DNAの鑑定書があるんだよ!!! なんというジョークだ! 現在、PSA/DNAは目に見えないサインまで鑑定しているようです。こちらがその証明書です。
http://www.auto-mania.com/html/newpage.html?code=39
出展 http://richardsimonsports.com/hofauto2.htm
(UACC Registered Dealer, #108
、リチャード・サイモン・スポーツからの情報)

●その他のお役立ち情報編へ
http://www.auto-mania.com/html/page36.html

●トップページへ
http://www.auto-mania.com/