『PSA/DNAの実相3〜その他編 米国サイトから読み解く、その遠景』

●判定ダブルスタンダード編 (全く同じサインなのに見解を変えている事例集)

■事例26(深刻度★★☆☆☆) 
(BAS)ベケット社が本物と認めて販売したはすのポール・マッカートニーのサイン、(BAS)ベケット社によってなぜか偽物として判定される。
BAS社によって本物であると認証されてオークション会社で販売されていたポール・マッカートニーのサイン入りアルバムが、BAS社の貼り付けた認証ステッカー部分を隠した状態で再び鑑定に提出されたところ、今度はなぜか偽物であると回答してきていることが、在米コレクターの間で話題になっている。
https://live.autographmagazine.com/forum/topics/i-put-beckett-signature-review-to-the-test-here-s-the-results?commentId=3524372%3AComment%3A1367133

■事例27  (深刻度★★★☆☆) 
JSA社のスタッフが直接入手したサイン、JSA社によって後日、偽物であると鑑定される。
JSA社が提供しているウィットネスト・プロテクション・プログラムとは、同社スタッフの面前でセレブリティー本人がサインをしたことを保証するプログラムである。
このシステムに基づいて元ボクシング世界王者のジョー・フレージャーがサインをしたこのトランクスからJSA社の発行したラベルを取り外し、その代わりに別の業者が本物と認める旨の別のステッカーを貼り付けて再び鑑定に出してみたところ、その判定結果は「八つの理由に基づいてこれは偽物である」というものであった。ラベル以外は筆跡もコンディションも全く変わっていないのに、どうして「八つの理由」が生じたのだろうか?この会社のスタッフが見ている前で直接もらったはずの本物のサインが、どうして他の人が本物だと判定した途端、偽物のサインということになってしまうのだろうか?まったくの謎である。
ミッキー・マントルのサイン入りジャージについてもこれと同じような現象が起きた。JSA社が本物と認証したはずのサインから彼らの発行した認証書類を外し、代わりに別の業者が発行した認証書類をつけて同社に鑑定に提出してみると、なぜかその答えは「十二項目の理由に基づきこれは偽物である」という判定であった。この会社はそもそも筆跡を見ているのだろうか?そして、これは公正なビジネスを行っているといえるのだろうか?
https://ricaautograph.wordpress.com/
http://sigartsinc.blogspot.com/2011/02/james-spence-authentication.htm



■事例28(深刻度★★★★★) (重大情報)
PSA/DNA社及びJSA社、不自然な鑑定操作の実態がカリフォルニア州控訴裁判所で事実認定される。
直筆サインの認証・鑑定サービスを行うPSA/DNA社(コレクターズ・ユニバースの子会社)及びジェームズ・スペンス・オーテセンティケーション社(JSA社)に対して、直筆サインの販売を行うトッド・ミューラー氏 とネルソン・ディードル氏が提訴していた裁判が結審し、原告側が一部勝訴、被告側の主張は全て退けられた。カリフォルニア州控訴裁判所第四地区は、原告側の求めていた損害賠償は認めなかったが、原告訴訟費用の支払いを被告に対して命令する判決を下した。
『著名人の直筆サインの真贋に関する議論は公共の問題とはいえず、また、認証会社の示す見解は保護された言論とは言えない』
カリフォルニア州地裁控訴裁判所第四地区は、原告側の訴えは反スラップ法の要件に該当するとして控訴した被告側の主張を棄却した。事実上、直筆サインの認証サービスを行っているこれらの会社には公益性が認められず、また、他の販売者の商品に対するオピニオンビジネスは言論の自由に相当するものでもない、という司法の判断が示されている。

 この係争は、PSA/DNA側が、原告の一人であるトッド・ミューラー氏に対して同社のエキスパート真贋鑑定士として加わるように要請したにもかかわらず、同氏がPSA/DNA社の行っている真贋判定ビジネスのありようを問題視して参画することを拒否したことにより、始まったものである。PSA/DNA社の社長であるジョー・オーランド氏(当時。現在は既に退職)はその際、原告に対して「仲間になるのか、反対側になるのか、どちらかだ」と迫ったのだという。そしてそれ以来、PSA側は原告側の販売する直筆サインは偽物であるというレッテルを貼るようになり、ミューラー氏たちの顧客が原告との取引を止めるように仕向けることを狙ったのだという。従って、将来の経済的利益に対する意図的な妨害、営業妨害の共謀、不正競争防止法違反の疑いでPSA/DNA側が二つのサイン販売会社から提訴されたものである。

 本訴訟で注目を集めたのが、PSA/DNA社及びJSA社の行ってきた判定の不自然さに関して、である。
 法廷に提出された資料によれば、原告側は、自社の保有する在庫の中から合計100点の直筆サインを被告側に対して匿名で提出してみるテストを実施した。一回目はそのほとんどに対して本物である、とする回答が戻って来たが、それから時をおいて知人に頼み、自社との関連がわかるように示した上でこれらの92点を再び提出してみたところ、今度はなぜか本物と認められるものはわずか2点しかなかったという、前回とは全く異なる鑑定結果を伝えてきている。また、知人の二名が二つのサインの鑑定を試してみたところ、いずれの場合も、出所を明かして依頼すると「これは偽物である」とする回答を寄こし、出所を明かさないで提出してみると今度は、「これは本物である」という回答を寄こしてきたことが明らかになっている。
また、PSA/DNAが「これは本物である」と既に認証していた直筆サインを、知人を介してあえて購入した原告側が、PSA/DNAの発行した鑑定書を外し、代わりに自社発行の鑑定書をつけて再び提出させてみたところ、それに対してはなぜか「これは偽物である」とPSA/DNAが回答してくるケース。あるいは顧客が原告側発行の鑑定書をつけて鑑定を依頼すると、「これは偽物である」として返って来るが、書類を何も添付しない状態で同じサインを再び鑑定に提出してみると、「これは本物である」としてPSAから判定されるなど、不可解なダブルスタンダード事例が、本法廷では数多く提出されている。このように、PSA/DNA社及びJSA社は、筆跡に基づいての真贋判定ではなく、潜在的な競合関係にある別会社に対してその評判や信用を貶める操作を行ってきたことを示唆する物証がこの裁判では示されている

 判決を受けて、原告側の弁護を担当したテキサス州ルイビルのマシュー・クラーク弁護士は、
『サイン入りメモラビリアの認証にはカリフォルニア州の反スラップ法が適用されないという正しい判決を控訴裁判所が出したことを嬉しく思っています。 これにより、私のクライアントに損害を与えた被告側の反競争的行為に対処するため、引き続き裁判を進めることができることでしょう』とコメントしている。
https://www.leagle.com/decision/incaco20171214079
https://www.leagle.com/decision/incaco20171214080
https://casetext.com/case/mueller-v-collectors-universe-inc
http://metnews.com/articles/2017/autographs121817.htm


※公的機関であるカリフォルニアの司法が認定したこれらの判決・事実関係などを踏まえ、当店の所属する非営利国際オートグラフ団体Universal Autograph Collectors Club (UACC)は、第三者認証を行っているPSA等のこれらの会社に関して、以下のようなアナウンスメントを行っております。
『UACCは、裁判所によって承認された専門的な基準に則っていない第三者の鑑定書を認めません。裁判所が承認する基準とは、証拠の連鎖を用いるものです。従って適切な調査や裏付けデータなしに判定が行われる、いわゆるクイック認証も排除されます』
The UACC does not recognize third party authentication certificates not done to professional standards approved by the courts". Court approved standard is that which uses chain of evidence. This eliminates so-called quick authentications done without proper research and the supporting data.

※解説 
 被告となったこれらの認証会社はあくまでも、営利目的で事業を行っている民間企業です。政府から委託を受けて事業を行っているわけではない以上、実際のところその真贋判断は常に公明正大さが保たれているわけではなく、ビジネス上の複雑な利害関係の影響を免れ得ない世界です。毎月鑑定会社にたくさんのお金を落としてくれる提携先の大手オークション会社と、そうではない、良好とはいえない関係にあるところに対して示す見解は、必ずしも公正にはなりません。ある程度この業界の人間関係等を知悉していれば、実際にはそうした不公平性が存在している事、あるいはサインの希少性維持と高価格帯販売を正当化するために、意図的に認証そのものを拒否しているように思われるケースがある事(事例07のドナルド・トランプ、事例13.のマイケル・ジョーダンなどがこれに該当)など、あちこちで筆跡に基づいての判断ではなく「明らかに何らかの意図を持った真贋意見の操作」としか考えられない判定が存在してしまっていることは否定できません。PSA, JSAが行ってきた鑑定には、もちろんそれが全てではないにせよ、不自然極まりない真贋判定も含まれてきたことが司法の場で事実認定されてしまい、従って裁判所は、これらの民間営利会社が行っている第三者認証ビジネスが公益性を持つものであると認めることはなかった、ということです。


※補足 
上述の■事例26〜28ともほぼ共通したようなパターンですが、ここでは当店の体験談を含めさせて頂きます。PSAとJSAが、不自然に鑑定結果を変えてくることは当店でも確認済みです。
 PSAとは深いつながりのある某大手オークション会社から、あるサイン入り商品を入荷。その商品説明には、既にPSAが事前に本物であることを確認していた旨が記されていました(Pre- Certified。別途追加料金を支払えば、認証書を発行してもらえるシステム)。しかしながら、後日こちらから直接その商品をPSAに対して送付し、改めて認証書の発行を求めてみたところ、どういうわけか、こちらに対しては「これは偽物である」という全く異なる回答。自分たちで「これは本物である」と判断していた見解を、どうしてわずか数か月には「これは偽物である」へと変更してくるのか。明らかにダブルスタンダードですが、提携関係にあるオークション会社が販売する場合と、それ以外に対しては真贋判定の対応をがらりと変えていることがここからも読み取れます。これとほぼ同様のことはJSAでも経験しましたので、法廷でも同様の不自然な操作実態が認定された以上、わざわざ高いお金を払ってこのようなサービスを利用することは最終的に停止しました次第です。

野球カード関連のFBIによる捜査情報、PSA鑑定の失敗例などをご説明しています。
(事例29〜35)
http://www.auto-mania.com/html/page41.html
その他のお役立ち情報編はこちらからどうぞ。
http://www.auto-mania.com/html/page36.html
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